オープンオフィス、
オープンプランオフィスの悪い評判

現在、多くの日本企業で採用されている
オープンタイプのオフィス、
すなわち「オープンオフィス」が、
仕事上、さまざまな悪影響を与えることが
最近の研究によって、分かってきました。

この「オープンオフィス」とは
壁などの仕切りが無いオフィスの事です。

他の従業員の姿が見え、他の従業員の声が聞こえる環境の
オープンオフィス――
これが今、日本の会社の主流になっていると思います。

この「オープンオフィス」とは逆に、壁などで仕切られていて
ある程度、個人の空間が確保されたオフィスの事を、
「クローズド・オフィス」 あるいは「プライベートタイプのオフィス」と呼ぶそうです。

欧米、特にアメリカでは
この「クローズド・オフィス(個室、仕切りのあるオフィス)」が多かったのですが、
最近は、オープンオフィスがブームとなっていて
アメリカで働いている全従業員のうち、約70%が、
オープンオフィスで、働いているそうです。

つまり、アメリカでも、日本と同じように
仕切りの無い「オープンオフィス」が
主流となってきているわけです。

ところが、冒頭でも、少し述べたように
この「オープンオフィス」は、評判が悪く
仕事上、さまざまな悪影響を与えることが
最近の研究によって、分かってきました。

オープンオフィスには、どんな悪影響が、あるのでしょうか?
それを、次に書いていきたいと思います。

集中力が下がり、生産性が低下する

心理学者のマシュー・デイビス博士の研究によると、
オープンオフィスは、高いストレスのため、集中力を低下させ
「生産性」「仕事へのモチベーション」「満足感」
「創造的思考」を減少させる事が、分かりました。

また、バージニア州立大学とノースカロライナ州立大学が
共同で実施した研究によると、
オープンオフィスで働く社員は、周囲の同僚の会話や物音のせいで
「集中力」「生産性」が下がる傾向にある、という事です。
さらには「仕事に対する情熱」「仕事に対する満足度」も下がり、
「もっとプライバシーが必要だ」と
オープンオフィスの社員が感じている事が、分かりました。

また、スタンフォード大学のアンソニー・バーグナー博士によると
オープンオフィスでは、同僚から、仕事を邪魔される事が多いため
「マルチタスク(複数の仕事を、同時並行で行う事)」の作業効率が
非常に悪化してしまう、という事です。

このようなオープンオフィスにおける生産性などの低下について、
ワシントン・ポスト紙は、次のように述べています――

「『(オープンオフィスは) 従業員が、仕事をサボっていないか、見張ることができ
生産性が向上する』と、経営者は感じているようだが、
この感覚は、誤っている。」

では、なぜ、オープンオフィスでは
このような様々な悪影響が、出てしまうのでしょうか。

その原因について「The New Yorker」は、次のように述べています――

「オープンオフィスが、もたらす弊害については、心理学的見地からは
『プライバシー』との密接な関連性が、指摘されています。
『プライバシーが、適度に守られている、と感じる時に
人間の能力が高まる』と、心理学的には、考えられていますが
オープンオフィス環境では、このプライバシーが、十分に確保されないため
ストレスが発生し、生産性の低下が生じる、というわけです。」

人間関係が、悪化する

オフィスの配置を、クローズド・オフィス(仕切りのあるオフィス)から
オープンオフィス・スタイルに変更した、
カナダの石油関連企業の従業員について、
カルガリー大学の心理学研究チームが、調査をしました。

この調査の中で、研究チームは
従業員の「対人関係」「ストレス」「生産性」「満足度」について調査しましたが、
以前のクローズド・オフィスよりも
オープン・オフィスに変更した後は
全ての要素で悪化した、という事が確認されました。

従業員は、新しいオープン・オフィスについて
“以前よりも、ストレスが多く
同僚との親近感が、失われた”と感じていて
生産性も落ちていた、という事です。

また、香港のオフィスで働く従業員を、対象に行われた
香港理工大学の調査によると、
オフィスで、最もイライラする音は
「従業員同士の会話」「携帯の着信音」という事で、
オープンオフィスは、この点においても
従業員のパフォーマンスを低下させている、とみられています。

また、日本に住み、日本人男性と結婚し、日本企業で働いている
アメリカ人女性グレイスさんも、オープンオフィスを嫌っており、
その理由として「気が散るから」と述べています。
“仕事に集中した時に、自分が、変な顔になっていないか”
“キーボードをタッチする音が、大きすぎないか”などが気になって、
仕事に集中できない、という事です。

さらに、彼女の友人の大半も、オープンオフィスを嫌っており、
その理由としては“少し顔を上げただけで、人と目が合う事”
“プライバシーがなく、周りの音が、気になる事”を
挙げているそうです。

また「GIGAZINE」の記事は、次のように述べています――

「必要がなくても、同僚同士の会話が
耳に入る仕組みのオープンプランオフィスでは、
生産性の低下にも、つながっています。
生産性の高い仕事をするためには
しっかりと壁のある個室の方が、集中できるようです。」

また、2013年の調査によると
調査対象者(オープンオフィスで働く労働者)の半数近くは
『音のプライバシーが無い点が、大きな問題だ』と答えており、
調査対象者の30%以上が、視覚的なプライバシーが無い点に
不満を感じていました。
さらに、オープンオフィスで働く労働者の多くが、
仕事のパフォーマンス低下を招く、集中力の低下に
いらだっていた、という事です。

健康に良くないため、欠勤が多くなる

ある北欧の学術誌に掲載された研究結果によると、
クローズド・オフィスの社員(自分専用の仕切られた空間を、持っている社員)よりも、
オープン・オフィスで働く社員は
病欠で仕事を休む頻度が、62パーセントも高かった、という事です。

なぜ、クローズド・オフィスよりも、オープン・オフィスは
病欠日数が、多くなるのでしょうか?

研究チームや専門家によると、
“職場のプライバシーの欠如からくる、ストレス”
あるいは“人が密集している空間なので
ウイルスやバクテリアが、拡散しやすい事”などが
原因として、考えられるそうです。

また、オーストラリアのクイーンズランド工科大学の研究チームは
次のように述べています――

「騒々しい職場で、働き続けている人は
『極度のストレス』『疲労』『高血圧』 『インフルエンザ』などの問題を抱えやすく、
オープン・オフィスは、そうでないオフィスと比べると、
健康的に、良くない。」

企業業績アップの秘策は、
オープン・オフィスの廃止?

いかがでしたか。
現在、日本の会社の主流となっている「オープンオフィス」ですが、
そのオープンプランオフィスに関する、最近の研究によって
様々な事が、分かってきました――

オープンオフィスは「集中力」「生産性」「仕事へのモチベーション」
「仕事への満足感」「創造的思考」などを低下させ、
人間関係を悪化させ、
さらには、健康に良くないため、欠勤が多くなる・・・

“広いオフィスに、ただ単に、机を並べるだけ”のオープンオフィスの方が
安上がりで、簡単に作れるため
オフィス環境が、オープンオフィスになりがちなのは分かりますが、
その「お手軽さ」と引き換えに、多くのモノを、失っているとしたら
“その会社の未来は、はなはだ暗い”と、言わざるを得ないのかもしれません。

業績の低迷から、脱したい
あるいは、さらなる企業成長を、目指したい――

そうした目的を達成したいのであれば
他社と同じのオープン・オフィスをやめて、
「クローズド・オフィス(プライベートタイプのオフィス)」に移行するのも
1つの有効な手段なのかもしれません。

【参考文献】
仕切りや壁がないオープンプランオフィスで働くと、
不満レベルが、最大に(GIGAZINE)

オープンオフィスが、もたらす弊害(GIGAZINE)
オープンオフィスは、生産性を下げる(GIGAZINE)
オープンオフィスが、職場を破壊する(スラド)
オープンオフィスで働くと、病欠が増える(ロケットニュース24)
オフィスは、個人の空間が確保されている方がイイ!(ロケットニュース24)
オフィスに、プライベート空間を、作り出す(えんウチ)
日本に住む、外国人の奥さんが
「日本人の働き方は、異常」と思うこと6つ(マダム・リリー)

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